Hey girls!調子はいかが?
嵐のように全力で口を回して琴美先生は医局に戻っていった。それにしても焦って出てくる言葉が英語だなんて、先生の第一言語はやっぱり英語なんだなぁ。それでいて日本語には違和感ないし、流暢だし、すごいと思う。私も英語勉強するためには琴美先生に英語を話してもらった方がいいんじゃないか…?とつくづく思う。
「遠藤先生、やっぱり英語すごいね?」
やっぱりその話になるよねぇ~。
「ほんと、うらやましくなるよね。琴美先生に教えてもらおうかな?」
「それいい!!私も英語あんなに上手にしゃべりたい!」
「この先どうしたって日本語以外の言語を1つは話せた方がいいもんね。」
「そうだよね。あ、ためしにちょっと練習してみる?」
「崩壊しそう!」
「確かに!」
ネブライザーを終えてちょっと元気になった私たちはおしゃべりしながらげらげら笑っていた。
「そんなに大きな声で笑ってるとまた調子悪くなっちゃうよー!」
そういって部屋に入ってきたのは白井さん。
「あ、白井さんだ、こんにちはー。」
「ごめんなさい…。」
なんとなく久しぶりに見た白井さんを見て私は反射的に挨拶した。瞳は謝ってるし。こういうところってちょっと対照的だよねー。
「はい、こんにちは。瞳ちゃん、怒ってないから大丈夫。」
白井さん、笑っちゃってる。
「どうしたんですか?」
いきなり現れた白井さんに、どうしたんだろうと思って問いかけてみる。
「うん?あなたたちの楽しそうな声が聞こえてきたから元気かなーって思って。」
笑いながら答えてくる白井さん。
「というのは半分嘘で、夜ご飯の時間だよ。」
なんだー、ご飯の時間か。なんかまた診察とか検査とか治療とかあるのかと一瞬身構えちゃったよ。
「うん、ご飯あんまり食べられそうになかったらもしかしたら遠藤先生から栄養剤を点滴するよーとか言われるかもね?」
いたずらな顔をしてそう言ってくる白井さん。そんなこと言うなんてひどいー、っていうか私そんなこと一言も言ってない…。
「なんでって顔してるけど、全部表情にでてるからね?」
「嘘だ!瞳じゃあるまいし!」
「ひどい!なんでそこで私の名前をもってくるのさ」
「似てるよ、2人とも。」
「それ褒めてる!?」
「いや、特段ほめているわけでもなければけなしてるわけでもない。」
また笑ってる。もう!白井さんって表情筋が異常に発達してるんじゃないの?
「あー、また失礼なこと考えたでしょ。」
そしてエスパー。もう間違いなくこれは琴美先生のせいだ。そしてそんなことを私たちとはなしながらてきぱきとごはんの準備をしてくれている。口を動かしながら手もしっかり動かすってすごい技術だよね。
「よし、めしあがれー!食べられるだけ食べるんだよ。」
「はーい、いただきます。」
「ありがとうございます。いただきます!」
しっかり食べるんだよー、と言い残して白井さんは部屋から出ていった。