Hey girls!調子はいかが?
音を立てないように気をつけて2人の病室に入る。
瞳ちゃんに軽く触れてみると、さっきよりは熱も下がってるみたい。発作止めが効いているみたいで、呼吸も落ち着いている。
一応呼吸音だけ聴いておこう。
聴診器を手で温めてから瞳ちゃんに当てる。まだ音がいいとは言えないけど、発作を起こしかけた時よりは状況はいい。このまま朝を迎えられるだろう。
問題は晴ちゃんかもしれない。晴ちゃんには薬を使ってないから。
瞳ちゃんを起こさないように気をつけて晴ちゃんのベッドに向かう。
晴ちゃんに触れてみると、相変わらずだ。下手に解熱剤で下げるのもよくないから薬はまだ使わなくてもいいとは思うけど、それでも高いことに変わりはない。
呼吸音もイマイチではある。決して良くはない。さて、どうしたものか…。
明け方しだいかな。
喘息は夜から朝方にかけて発作を起こしやすい。晴ちゃんや瞳ちゃんに限らず、喘息は寝ている時間帯に気をつけておいてあげないといけない病気だ。
どのみち、あと2〜3時間で瞳ちゃんの点滴を外しに行くから、その時にもう一度晴ちゃんのことも診よう。
2人の様子をみて、医局に戻ると楓に呼び止められた。
「こと先輩、瞳ちゃんって…。」
「おお、早速カルテ見てくれた?」
「はい、そうなんですけど、これ、今本人はどういう状況なんですか?」
「記憶にはないみたいだけど極度に怖がるのね。だけど、白井さんには何となく心を開きつつあるみたい。」
「そうなんですか…。」
「とりあえずさっき寝てる間に点滴打ってきた。留置針使ったよ。おいおい、克服はしていってもらわないといけないんだけどね。楓なら嫌な気持ちはよくわかるんじゃない?」
「それは嫌という程わかると思いますけど…。」
「心配?」
「ちょっと…。」
「かなり境遇は似てるもんね、楓と瞳ちゃん。でも、私は大丈夫だと思うよ?楓にとっても瞳ちゃんにとってもいいと思う。」
「そうですか…?」
「うん、それに主治医を変わってって言ってるわけじゃないからね。」
「それもそうですね。」
「だから大丈夫!楓がつらくなったらちゃんと私に言ってくれたらいいから。」
「ありがとうございます。じゃあとりあえず先輩は寝てきてください。仮眠取ってないですよね?」
「うん、ありがと、2時間ぐらい寝てくるわ〜。緊急だったら起こして。」
「はい!おやすみなさい。」
「おやすみー。」