Hey girls!調子はいかが?

楓も瞳ちゃんと同じように小児喘息を患っていた。今回、瞳ちゃんは再発してしまったが、楓も瞳ちゃんも1度落ち着いていた時期はあった。ただ、楓の場合は瞳ちゃんよりも時間がかかったし、一応ずっと薬でコントロールはしていた。そして、薬を飲まなくなって2年足らずでまた喘息が出てきてしまっている。当然、病院に対しての嫌なことや思い出したくないことなんかもしっかりと記憶に残ってしまっている。

対照的に、瞳ちゃんは小学校に上がる前に治って、薬のコントロールも必要なくなっていたから何も覚えていなくても仕方がない年齢ではある。

楓から聞いた話では、押さえつけられて無理やりネブライザーやらされたり、無理やり診察されたりして、感情が制御不能になって涙がとまらなくなったり、酷い時には過呼吸を起こしたりしていたこともあったらしい。人間に対してというより、診察や検査などの医療行為をただ事務的に行う医者が楓の主治医だったらしい。

瞳ちゃんは当時の自分のことを覚えていないと思うけど、押さえつけられて無理やりやらされたなんてことは日常茶飯事だったようだし、覚えていないのにも関わらず未だに残っているあの怯え方は尋常ではない傷を残していったのだろう。

楓には瞳ちゃんの気持ちが痛いほどよくわかるはず。楓が当時の自分と瞳ちゃんを重ねて見てしまうかもしれない。それでまた当時のように苦しむかもしれない。もし瞳ちゃんの前で楓が冷静さを欠いてしまったら瞳ちゃんもパニックになるだろう。


楓に瞳ちゃんのことを診てもらうのは、2人にとってかなりの荒治療になるかもしれない。だけど、楓なら最終的にはどうにかするだけの力はあると思う。それに、自分と同じ境遇だからこそ、瞳ちゃんの様子をしっかり気にかけてあげられる子だと思う。そしてそれは瞳ちゃんにとってもいい事には違いない。
大学時代から楓のことを見てきたからなのか、楓なら出来るという確固たる自信が私の中にあった。

私は楓本人では無いけど。こういうときのカンってよく当たるんだよねー。

とりあえず、よくわからない人が瞳ちゃんの診察をするより楓に任せた方がよっぽど安心出来る。
このお礼は、そのうち楓をつれてなにか美味しいものでも食べに行こう。
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