Hey girls!調子はいかが?
晴side
時刻は朝9時半。今日限りの異様に長い回診を乗り切り、あと30分ぐらいで楓先生が私たちのことを迎えに来る。
瞳も何とか乗りきったみたいだし、とりあえずは良かった。
私は朝からのだるさが相変らずで、さっきからウトウトしている。瞳もそれをわかってくれているのか時折視線を感じるもののあまり話しかけてくることはない。
なんてありがたいんだ、幼なじみよ…。
ふわーっと意識が現実と夢とをさまよってると誰かに体を揺すられた。
意識が浮上してくる。目を開けると楓先生がいた。
「大丈夫?しっかり寝てたけど体はしんどいかな?」
「朝とあんまり変わりません…。」
寝起きで声があんまり出ない。
「そっか。」
相槌をうちながら額に触れてくる。
「熱も高そうだね…。もう10時なんだけど、処置室移動出来る?吸入しようか。」
「はい…。」
本当はあんまり動きたくないけど仕方ない。今はあんまり楓先生のこと困らせてくないし。
「無理しないでね。」
「大丈夫です。」
「わかった。じゃあ行こっか。瞳ちゃんも準備いい?」
「大丈夫です。」
いつの間にか準備が出来ている瞳が答えて、3人で病室を出た。
「2人ともゆっくりでいいからね。」
楓先生がそう言いながら先導して廊下を歩いてく。瞳も不安そうに隣を歩いてる。
「ねえ。」
「ん?」
「晴大丈夫?」
「私?大丈夫だよ?」
「顔色悪いよ。」
「まあ入院してるし、調子が言い訳じゃないしね。」
「それもそっか…。ねえ?」
「ん?」
「昨日のやつするんだよね?あの機械のやつ。」
「うん、そうだよ。」
「苦しいの嫌…。」
「私も嫌だけど…。でも意味もなくする訳じゃないから。大丈夫だよ。」
「うん…。」
そりゃ苦しいのは誰だって嫌だよね…。だけどやらなきゃいけないのはわかってる。きっと瞳もそれがわかってるからちゃんと着いてきている。
「さて、着いたよ。それぞれ座ろっか。」
わかってるけど嫌なんだよな…。
楓先生の言葉で余計にテンションが下がる。
「やりたくない…。」
瞳が呟いた。
「うん、わかる。」
意外なことに楓先生が答える。
「わかるよ、苦しいの。本当のこと言うと、私もこの吸入器には苦しめられてる。だけど今の瞳ちゃんや晴ちゃんには治療法がこれしかないの。」
え?
楓先生、吸入したことあるの?
「すぐ終わるから。頑張れる?」
瞳が頷いた。楓先生の喘息説には違和感を持たなかったらしい。気づかなかっただけかもしれないけど…。