Hey girls!調子はいかが?
楓先生の話は妙に説得力があって、私も瞳も何故か素直に受け入れた。
楓先生からマスクを受け取りはめる。
「2人とも準備はいい?ボタン押すよー。」
そう言って先生が機械を稼働させた。
もくもくと薬品が煙となって出てくる。それが呼吸器に入ってとても苦しい。
耐えきれずに私は咳き込んだ。目に生理的な涙が浮かんでくる。
瞳も隣で咳をしている。
なんとか頑張って呼吸を整えようとしていると、楓先生が背中をさすってくれた。
「大丈夫だよ。2人とも、ゆーっくり呼吸するのをこころがけてごらん?咳が邪魔してどうにもならないかもしれないけど試してごらん。」
楓先生の言う通り、ゆっくりの呼吸を試みる。瞳の方はちょっと落ち着いたみたい。気持ちの持ちようかもしれないけど、私もちょっと楽になった気がする。
それから直ぐに機械がピーッとなって、動きを止めた。
「お疲れ様、よくがんばりました!!つかれちゃったでしょ?」
私も瞳も正直ぐったり。
体力を使ったから今すぐにでも眠りの世界に入れそう。
「部屋、戻ろっか。というか戻れそう?2人とも満身創痍だけど…。」
「大丈夫です…。」
「本当に?歩ける?」
「私は何とか…。」
瞳が答える。
私は意地でも車椅子は使いたくない。自力で移動したい。
「大丈夫ですよ。」
強がってしまった。
楓先生が心配そうな目で見てる。倒れそうになりながら何とか立ち上がって歩き始めた。
だけどやっぱり体は正直で、クラクラと目眩が凄いし、真っ直ぐ歩けているかも分からない。
「晴、大丈夫?」
瞳が腕を支えてくれた。
「運んでもらう?」
これは楓先生。これは首を振って全力で拒否させてもらった。
フラフラと歩いているうちになんとか部屋にたどり着いてベッドに倒れ込む。重たい体を頑張って動かし、布団に潜り込んで、寝る体勢に入った。楓先生が何か言ってるのも聞くのが億劫なほど疲れてしまったみたいで、楓先生が話していることを理解する前に意識を手放し、まどろみに身を任せた。