Hey girls!調子はいかが?
「晴は大丈夫ですか?」
私が瞳ちゃんのところに戻って開口一番で聞いてきた。
「大丈夫、ちょっと熱が高くて水分飛んでるから点滴はしたけど発作はまだ起きなさそうだから。」
「そうですか…。」
「瞳ちゃんだってまだ熱下がってないんだし、無理しちゃダメだからね?」
「はい…。」
「ねえ…。どうしたの?なんか凄く悲しそうな顔してる。何かあった?」
ちょっと躊躇いながら聞いてみた。
「え…。」
「あのっ、嫌だったらいいんだけど…。なんかごめんね。」
私はちょっとしどろもどろになりながら謝った。
「いや、そういう訳じゃなくって。私、そんなにわかりやすいかな?って思ったんです。なんだか似たようなことが昨日今日でよくあるなあ、って思って。」
瞳ちゃんはちょっと含羞んでいる。べつに嫌だった訳ではなさそう。よかった。
「私、晴のこといつも助けてあげられないんです。いつも近くにいるのに調子悪そうでも声をかけたり保健室に連れて行ったりすることしか出来ない。本当に晴が苦しんでる時に何も出来ないのがとても辛いんです。喘息の発作が出た時にも何もしてあげられなかった…!」
「瞳ちゃん…。」
泣き出してしまった。
でも驚いた、気に病んでいた事は正直医者や看護師みたいな医療従事者じゃなくちゃ出来ないこと。それでもこの子はそうやって考えるんだ。とても心優しいんだろう。
「瞳ちゃん、そんなに泣かないで。直接なにか出来なくても、そうやって気にかけて貰えるだけでなんだか救われるものだよ。瞳ちゃんも経験ない?これからも声掛けは続けてあげなよ、それで晴ちゃんの心が救われる。身体を治してあげたいならきっと医者になるしかない。だけどね、心を治すのは必ずしも医者じゃない。」
はっ、と息を飲む音がした。
瞳ちゃんが目を見開いていた。
「そっか…。そうだね、私しか出来ないことをしたらいいんだ…。」
「そうだよー!」
「先生?でもやっぱり何も出来ないのは私が苦しい。私も医者になったら晴のこと助けてあげられるようになる?」
「なるよ!私の友達で瞳ちゃんと同じように考えて医者になった人がいるから。」
「私、医学部目指す。」
「そうか、頑張れ!応援してるよ。」
「ありがとう先生!」
「うん!」
この子は大泣きすると敬語が取れるらしい。どこかよそよそしかったのが無くなってよかった。