Hey girls!調子はいかが?
しばらくすると体温計が鳴る。
「え、はや。」
「そりゃあ、病院のだし?なるの遅かったら回診で日が暮れちゃうもん。」
「それもそうか…。いや、でもいつもより早くない?」
「いや、それは気のせいだ、いつも同じのだよ。」
ひょっとしなくてもこの子は天然だな。
笑うのを必死に堪えてる。
「よし、じゃあ苦手克服第2歩!」
えって顔して瞳ちゃんが私をみる。
もう、本当にわかりやすいなあ、この子は!妹みたいで可愛い。
「その、今脇に挟んでる体温計出そうか?」
「えっ。」
「私が抜いてあげてもいいけど?」
「いや、抜かれるのはもう十分…。」
「一体何回抜かれたのさ。」
ちょっと呆れ顔で聞いてみる。
「うーん、わかんない。けど自分で抜いたことない気がする。」
ちょっとバツが悪そうに答える瞳ちゃん。
「一応、今日の朝の回診では抜いてたよ。」
「あれ、本当?覚えてない。私寝起き悪いから…。」
「そうねえ、瞳ちゃん血圧低いし。」
「でもそれ以外は全部服に手を突っ込まれて強制的に取り出されてる…。」
「嫌じゃないの?」
「嫌に決まってるよ!だけど取り出すの渋ってる間に取られちゃうんだもん。」
「うーん、そうねえ。じゃあまずは抜かれる回数減らしてみようよ。今は待ってあげられるから自分で抜いてごらん?」
「わかった、ちょっと待って…。」
そう言うと目を瞑って深呼吸し始めた。
本当に可愛い。
「よしっ!」
突然声を上げてちょっと驚いた。よく見るとガッツリ目を瞑ったまま、体温計を取り出している。
なんか方向がズレてるけど私の方に差し出している。
「瞳ちゃん、こっち。」
思わず笑いながら答えてしまう。
「え?」
そう言って拍子に目を開けてしまう瞳ちゃん。
「あー、本当に見たくなかった…。はい、これ。私見なかったことにする。」
「はい?ええっ? いや、見なかったことには出来ないからね?ていうか結構高いね。」
「見てないから知らない。」
「なんだそれ!」
思わず全力で突っ込んでしまう。
表示されていた体温は39.2。回診では37.8だったから結構上がってる。
「そういえば熱上がりやすいんだっけ…?」
「…うん。でも大丈夫、大したことないもん。」
「うーん、それはちょっと判断しかねる…。とりあえず胸の音聴かせてもらってもいい?」
「やだ…。」
「やだか…。」
拒否されてしまった。