Hey girls!調子はいかが?
さて、どうしたものか…。ちょっと逡巡する。
とりあえず立ってるのも疲れたし座ってみた。
「ねえ?」
「やだ。」
「うん。あのさ?」
「…。」
「あのさ、なんで嫌なのか聞きたいな〜って思って。」
「…。先生は嫌だって思ったことないの?」
「私?私も嫌だよ。」
じゃあなんでって顔してる。
「昔は相当拒否してた。暴れたことだってあるし、そのせいで押さえつけられて無理やりやられたこともある。」
「え…。」
あ、いけない、この話はまずかったかも…。
瞳ちゃん、青ざめてる。
「瞳ちゃん?大丈夫?」
「あ、うん。私は大丈夫だけど…。先生は大丈夫なの?」
「今はね。そりゃあ昔は全然大丈夫じゃなかった。でも、優しい人たちに出会って、心の方はちょっとずつ変わりつつある。それに、大学で医学を学んでどうして聴診するのかわかったから。まあ私の話はまた今度にしよう。」
このままじゃきっと今の瞳ちゃんには刺激が強すぎる。
ほら、瞳ちゃんはまだ私の事心配そうな目で見つめてるし。
「大丈夫だから!そんな顔しないで。」
「うん…。私にも乗り越えられる?」
「きっとね。私だって出来たもん。」
「じゃあちょっと頑張ってみようかな…。」
「よし、よく言った!じゃあもうひとつアドバイスをあげるね。肺の音を聴く時に、どこに聴診器当てるか、見ててごらん。1回じゃさすがに覚えられないと思うから、今後何回か観察してみるといいよ。」
「わかった。」
「じゃあ始めていい?」
「うん…。」
ちょっと涙目になっちゃってるけど頑張るって言ってくれている間にすませちゃおう。
「大丈夫だよ。」
そう言って頭を撫でてから聴診する準備を始めた。
「じゃあちょっとごめんね。」
微かに頷いた。
肺に当て、気管支に当て、満遍なくしっかり音を拾う。
朝とあんまり変わってない、か…。
やっぱり喘鳴はある。それにこれだけ熱が高いからいつ急変するかもわからない。
ふと瞳ちゃんを見ると向こうを向いていた。
「瞳ちゃん、お疲れ様。終わったよ。」
「ありがとうございました…。」
ちょっと弱々しい。
「さすがに見てるのはハードル高すぎたね、ごめん。」
「ううん…。」
「まあ一応頭にはとめておいてみて。役に立つ日が来るかもしれないよ。」
「うん…。」
「元気だして!…って病人に使う言葉じゃないけど。今はもうしない。」
「大丈夫だよ。でもちょっと眠い…。」
眠いというよりは少し1人にして欲しいのだろう。わかりやすい瞳ちゃんの表情が全てを物語っている。
「わかった、お昼ご飯までまだ時間あるからゆっくり寝てていいよ。何かあったらナースコールしてね。」
「うん、おやすみなさい。」
瞳ちゃんの布団を整えてから部屋を出た。