Hey girls!調子はいかが?
発作に耐えきれずしゃがみこんで咳き込んだ。
病院には行っていないから薬も持っておらず、途方に暮れた。
「ちょっと!大丈夫?…じゃないね。喘息発作だね?ゆっくり深呼吸してごらん。」
誰かが駆け寄ってきてくれ、背中をさすって呼吸を誘導してくれた。久しぶりの発作でなかなか大変だったけどこの人のおかげでなんとかおさまった。
「大丈夫?」
「大丈夫です、お手数をおかけ致しました。本当にありがとうございました。」
「いや、いいんだけど…。喘息なのに薬持ってないの?」
「はい…。」
俯いてしまう。
「よかったら話してくれない?うちそこにあるからおいでよ。」
初対面で名前も知らないこの人は私のことを気にかけてくれたらしい。
知らない人について着いて行ってはいけないと小さい頃から誰しも教えられることだけどどこか安心感があって、気がついたらお家にお邪魔することになっていた。
「はい、着いたよ。体は大丈夫?」
「大丈夫です、ありがとうございます。」
「じゃあ荷物置いて、ここ座って。お茶入れてくるね。」
「わざわざありがとうございます…。」
「いいのいいの、Don't be nervous!」
突然英語が出てきたもんだからびっくりした。よく見たらとても綺麗な顔立ちをしている。もしかしたら外国の方の血が入っているのかも。ちょっと憧れたりするな。
そんなことを思いながらぼーっとその人のことを眺めていた。
「おまたせ〜。はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「そうそう、私は遠藤琴美、21歳。そこの大学医学部の3年生だよ。君は?」
「名乗りもせずにすいません!私は北村楓、高校2年生です。医学部目指してます…。」
「おっ、私のところ?」
「一応そのつもりです。」
「そっか。楓ちゃん、医学部目指してるなら、しかも自分が喘息持っているなら薬を持っていないってどれだけ怖いことかわかるよね?」
「はい…。」
問いただされて、怒られるんじゃないかと身構えた。
「何かあった?」
「えっ?」
だけど、琴美さんから出てきたのは私を心配する言葉だった。
「知識があるのに薬を持っていないのはそもそも薬がないんじゃないかって思って。」
「せ、正解です…。」
「それで、薬がないってことは病院に行っていないんじゃないか、もっというなら君みたいな子が通院をサボるのはあんまり考えにくくて、そう考えると何か事情があったのかなー、なんて。」
あってまだそんなに経っていないのにここまで当てられてしまうとは。
それに本当に心配してくれているのが伝わってくる。堪えきれずに涙がこぼれた。