Hey girls!調子はいかが?
「でもとりあえず、このままお家に返すのは心配なんだよね。今から病院行く?」
全力で頭を横に振る。
「そうだよね…。でもそろそろ限界なのはわかってるよね?どの道明日や明後日には行かなきゃ行けないよ?」
「…。」
「そーだ!私一緒について行ってあげようか??幸い明日は土曜日だし、講義ないよ?楓ちゃん学校は?」
「明日はないですけど…。」
「じゃあ決定!明日一緒に病院行こう」
「え、いや、それは悪いです…。」
「まあ乗りかかった船だし、そのまま見捨てはしないよ!それにこんなお話聞いちゃったあとじゃあ尚更ね。」
「そんな…。」
「いいのいいの!楓ちゃんに拒否権はなーい!」
えええ、そんな…。これ、そもそも行くこと決定してるじゃん…。
「それと、やっぱり出来れば胸の音、聞かせて欲しい。まだ実践なんて無いに等しいけど、このまま返すのは不安。だめ?」
ちょっと逡巡した。けど、この人なら大丈夫な気がする。なんの根拠もないけど、そんな気がする。
気づいたらうなづいていた。
「よしっ、よく言った!じゃあちょっとまっててね、ステート取ってくる。」
「はい、よろしくお願いします。」
その間に深呼吸する。聴診は病院に行っていないから、学校の内科検診の時以来で少し緊張している。
そうこうしているうちに琴美さんが戻ってきた。
「お待たせー。準備はいい?」
「はい、お願いします。」
「じゃあブレザー脱いで、ブラウスのボタンを4つぐらい開けてもらってもいい?」
「はい。」
震える手でボタンを外していく。
琴美さんがそんな私の手をとった。
「大丈夫、大丈夫。私はその先生とは違うよ。まだ未熟な学生だけど、楓ちゃんが嫌がることは絶対しない。約束する。だから安心して?」
そう、この人はあの先生とは違う。それはこの短時間一緒に過ごしただけだけどわかった。
なんだか少し安心した。
なんとか4つボタンを開けて琴美さんの方を向く。
「よし、いいかな?じゃあ嫌だったら目を瞑ってなね。ちょっと冷たいよー、深呼吸しててね。」
その言葉の後、直ぐに冷たい聴診器が当てられた。やっぱりまだ引きずってるみたい。当たった瞬間に心臓がドキッと嫌な音を立てた気がした。
そのままどんどん心拍が上がっていくのが嫌でもわかる。
「大丈夫だよ、落ち着いて深呼吸して。」
直接胸の音を聞いている琴美さんにはバレないわけがなくて。
ちょっと恥ずかしくなって、あまり考えないようにしながら深呼吸に意識を集中させた。