Hey girls!調子はいかが?
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
家に帰るともうお父さんもお母さんも帰宅したあとで私が最後だった。
「お邪魔します。」
琴美さんのその声で
「あれ、お客様?」
と言いながら母が出てきた。
「うん、あのね、こちら遠藤琴美さん。ちょっと話があって…。あがってもらいたいんだけどいい?」
「わかった。遠藤さん、汚くてごめんなさいねえ。どうぞあがって。」
「ありがとうございます、失礼します。」
「楓は荷物置いておいで。遠藤さん、こちらへどうぞ。」
お母さんはそう言って琴美さんを誘導した。私も自分の部屋に行ってカバンを置いた。
ブレザーを脱いでそのままリビングへ降りる。
「おまたせ。」
そう言いながら、両親の向かい、琴美さんの隣りに腰掛けた。
「それで、話って?」
「あのね、私、今日喘息の発作が出ちゃった…。」
「あら、大丈夫なの?」
「うん、今は。」
「それでどうしたの?」
あー、どうしよう。
ため息をつく。
「楓ちゃん、自分で言える?」
「なんかもう、なんて言ったらいいのか…。」
「じゃあ私が説明します。」
「えっ。」
琴美さんは私の返事も待たずに話し始めた。
私が琴美さんに話した、病院に一年以上行けていないこと、だから薬がないこと、そもそも過去のことを引きずっている、なんてことや、琴美さんは医大生で私の呼吸音が悪いこと、明日病院に私を連れいきたいことなど、全てを簡単にまとめて話してくれた。
「そうだったんですか…。」
お母さんもお父さんも呆然としている。まさか私がこんなに長いこと通院していなかったことを知らなかったのだろう。
「あんた、これまでに発作が出たことは無かったの?」
「なかった。最近ちょっと調子良くないなって思ってて、今日久しぶりに出た。」
「そっか…。ていうかどうしてそんな大事なことを今まで言わなかったの!」
怒られた。過去に何があったかはある程度知ってるはずだから、長期間病院に行っていなかったことで怒っているのだろう。
「えっと…。ごめんなさい。」
「謝って欲しいんじゃない!あんたどういう事なのかわかってる?!」
この後は本当にこっぴどく怒られた。お父さんも私が悪いのが明白だからなにも助け舟を出してくれない。隣りで琴美さんがおろおろしていて申し訳なかった。
私が俯いてしばらくお母さんの説教を聞いていると琴美さんが恐る恐る口を割って説教を中断してくれた。