Hey girls!調子はいかが?
朝、目を覚ましてむっくりと体を起こした。
なんとなく、意味もなくだけど横になってるのがまずい気がして、気づいたら座ってた。
それからすぐ、間を置かずに咳が出始めた。
朝方によくある発作だった。
「ゲホッケホケホケホケホッ、ゴホゴホケホッゲホゲホ。」
喉がヒューヒューと音を立てる。
落ち着かなければ。落ち着いて、しっかり深呼吸しないと…。
そうは思ってもなかなか落ち着くことが出来ない。これはやばい。
そう思った時だった。
「楓ちゃーん、ゆっくり深呼吸。私に合わせてゆっくり呼吸してごらん。」
視界に琴美さんが入ってきた。
それでも最初はできない。
「落ち着いて。ゆっくりでいいから焦らないで。」
背中をさすられる。琴美さんが落ち着いているからか段々私も冷静になってきた。深呼吸する余裕も出てきた。
なんとかゆっくりと深呼吸を繰り返し、発作をとめることができた。
薬がない時に発作が出てくると本当に大変。それに自分だけでは対処しきれない。
たまたまこのタイミングで琴美さんに出会って本当に良かった…。
私は昨日のたまたまにとても感謝した。
「朝一で病院に行こう。」
「そう、ですね。」
「さすがにまずいのわかってるよね。」
はい、と頷く。
本当は行きたくない。抗いたい。でもこれ以上は自分が危険。それは私もよくわかってる。
「病院行くからいいかなって思ってたんだけど、結構大きな発作だったし悪いけど音聞かせてね。その間に熱はかろっか。」
拒否権はないらしい。そもそも拒否する気力もないんだけど。
渡された体温計を脇に挟む。
お母さん、準備いいなあ…。
謎に感心してしまう。
それに、4回目ともなると完全に慣れた感が出てきて、琴美さんも勝手にパジャマ開いてるし私も大して気にもせずに受け入れてるし…。
信じられないような進歩だ。どうして病院に行ってなかったのか不思議なぐらい。
さすがに琴美さんの聴診よりは私の体温計の方がはやく鳴るわけで。
脇から出そうと手を伸ばすと、私の手が届くより先に琴美さんが抜いていた。
私、ええっ?!って顔で琴美さんのことをガン見。
琴美さん、何事も無かったかのように続けてる。
結構びっくりしたんだけどね…。
なにかよく分からない敗北感を感じる。
かってにいじけている間に聴診も終わった。