Hey girls!調子はいかが?
「あれ、君は。」
「あ、ご無沙汰しております、中条先生。」
え、何?知り合い?
「この子、遠藤さんの知り合い?」
「まあそんなところですね。今日は付き添いです。」
随分親しいのかな。
「さて、北村さん。これから君の主治医になります、中条瑛(チュウジョウアキラ)です。ちなみに遠藤さんは僕のゼミの学生。」
「よろしくお願いします?」
なんだかよく分からなくて疑問形で返してしまった。
「それで、喘息なんだね。発作が出て、通院したってことであってる?」
「はい…。」
いきなり本題に入った中条先生。
「発作が出た時に薬は飲んだ??」
「…。」
答えられない。中条先生の何かを探るような目付きと琴美さんの心配そうな視線が痛くて俯いた。
「最後に病院来たのはいつ?」
「…。」
一年以上前とか、言える勇気ないよ…。
「楓ちゃん、大丈夫だから。中条先生優しいから。」
そんな事言われても…。
「なになに?何か訳ありと見た。」
「楓ちゃん、話していい?」
これ以上、迷惑かけられないし、黙って頷いた。
「実は…。」
かくかくしかじかで病院に行来たくても行けなかったみたいで。
手短に、事情が話される。
「それで昨日学校の帰り道に発作起こしてたんです。それをたまたま私がみつけて、それで今日連れてきた、みたいな感じなんですよ。昨日は発作が出た後だし聴診させて欲しいって言ったら泣かせてしまって。」
うわ、そんなところまで言わなくていいよ…。
ちょっと恨めしげな視線を琴美さんに送ってみたけど完全に黙殺された。
「なるほど。それじゃあ中学卒業してから1年半ぐらいはどこの病院にもかかってないの?」
「はい…。」
「そうか…。北村さん、わかってるかもしれないけど少し覚悟しておいた方がいいかもしれない。診察しないとなんとも言えないけど、今日は家に帰してあげられないかもしれない。」
「…。」
何となくわかってはいた。
しかたない。いくら嫌だっていう理由があったとしても通院していなかったのは全て私の責任だから。
「さて、北村さん。嫌かもしれないけど聴診させてくれる?」
中条先生のその一言で我に返った。
「え、あ、えっと…。」
「楓ちゃん、大丈夫だよ。」
そう言って手を握ってくれる琴美さん。
「先生、お願いします。」
琴美さんが中条先生にお願いしてる。
私、まだ心の準備出来てない…。
そんな私の心の様子を見越したかのように
「大丈夫だから。」
と琴美さんが言う。
「本当?北村さん、いい?」
もうどうにもならなくて頷いた。