Hey girls!調子はいかが?
「服ごめんね。」
看護師さんがそう言って私の服を上げた。
ビクッとする。
繋いだままの琴美さんの手がさらにしっかり握られた。
「大丈夫だよ、落ち着いて。安心していいから。」
琴美さんの声に少し力が抜けるのがわかった。
「それじゃあちょっと我慢してね。ゆっくり深呼吸しててね。」
中条先生がそう言ってすぐ、聴診器を肌に感じた。
また少しビクッとしてしまう。
琴美さんが手の甲をゆっくりとトントンした。なんとなく、大丈夫って言われているような気がした。
「はい、いいよー。お疲れ様。」
なんとか深呼吸を繰り返していると中条先生からの終わりの合図があった。
「よく頑張ったね。」
琴美さんが頭を撫でてくれる。
「え?」
だけどそれが不思議で声がでた。
それで初めて気がついた。私、泣いてる。今まで気づかなかったけど涙が静かに頬を伝って下に落ちている。
「そんなにトラウマなんだね、半ばこっちのペースで進めて悪いことしたね。」
前の医者はそんなこと言わなかった。中条先生も琴美さんと一緒で、小児科の時の主治医とは違う。
それを心が感じ取ったのかさらに涙が溢れ出てきた。それと同時に嗚咽も一緒に出てくる
そのまま俯いた。
琴美さんがずっと背中をさすってくれている。
「よく頑張ったね。だけどそんなに泣いちゃうと発作が出ちゃうよ。ちょっとずつでいいからそろそろ泣きやもうか。」
中条先生も優しく声をかけてくれる。
その言葉と一緒にこの診察室にいた看護師さんがティッシュペーパーを差し出してくれた。
ありがたくティッシュペーパーを受けとって涙を拭き、深呼吸をして少しずつ涙をおさめた。
「なんだかすみません。」
完全に泣き止んだ頃、高校生にもなって周りに人が沢山いる中で大泣きしてしまったのが気恥ずかしくなってしまった。
「大丈夫だよ。さてと、本題に戻ってもいいかな?」
「はい、お願いします。」
「状態はやっぱりかなり悪いね。熱もかなり高い。薬でのコントロールもこの一年以上していなかった。」
「はい…。」
「北村さん。入院、しようか。」
「…。」
そう来ることは何となくわかっていたし、琴美さんやお母さんたちのうちでの念の入れようからも察していた。
それでも素直に頷けない。