Hey girls!調子はいかが?

「嫌だとは思うけど、薬を処方して家でまた薬による喘息のコントロールを始めても、この状態だと苦しむのは北村さん自身だよ。長期戦になるし、このままだと今後もしょっちゅう発作に見舞われることになる。」

「…。」

「それに、熱だって高い。どの道その熱を下げないと危険だよ。ネブライザーを中心に治療しよう?」

「…。」


どうしても言葉が出ない。頷けない。


中条先生の言っていることは正しい。

自分のことは自分で処置出来るようになりたかったから手始めにまず喘息について調べまくった。だから今どういう状況なのか、どうするのがベストなのか、それは身をもってよく分かっている。

だけど頭と心が連動しない。


「楓ちゃん…。」


琴美さんが遠慮がちに口を開く。


「楓ちゃん、入院、しよ?今のままじゃ本当に危ないよ。」

「それは…。分かってはいるんです…。だけど…。」

「私、お見舞い行くからさ。」


琴美さんは至って真面目に言っているが、そこじゃないっ。思わずずっこけそうになる。寂しいけどそうじゃなくて、嫌なものは嫌なんだよ…。それに授業に遅れちゃう。


「調子が良ければ2週間ぐらいで退院出来るよ。」

「2週間…。」

「楓ちゃん。ちょっと体を休めてあげよう?相当君の体には負担がかかったはずだよ、この1年。勉強心配だろうけど万全じゃなかったらもっと置いていかれるよ?大丈夫、君の調子がいい時は私が教えてあげる。時間見て来るよ。I'll be your teacher. それじゃあダメ?」


琴美さんが説得にかかる。

でも考えれば考えるほど、悩めば悩むほどどんどん頭は働かなくなっていく。逃げ道はないけど必死に探してみる。見つからないけどとにかく足掻きたくて考える。


しばらくして限界を迎えたらしい。私は何も言葉を発することなく意識を失った。


次に目を覚ましたら、どこもかしくも白で統一された病室だった。
倒れたことで私の意思は関係なく入院することとなってしまったらしい。


こうなってしまったら仕方ない、さっさと数値を合格ラインまで持って行ってさっさと退院するしかない。


いろいろ抵抗はすると思うけど早くここから出よう。



私の意見を聞かずに決定したのは不満だけど不思議といつもより前向きに考えられていると感じた。
< 80 / 110 >

この作品をシェア

pagetop