Hey girls!調子はいかが?
「それじゃあ瞳ちゃん、悪いけど胸の音聴かせてねー。」
瞳は頷いたものの、固く目を閉じてしまった。
「じゃあちょっとごめんね、深呼吸しててね。」
静かな時間が訪れる。瞳は必死に深呼吸してる。琴美先生は真剣に聴いている。
やっぱり琴美先生の聴診は長い。
「はいお疲れ様!」
何とか解放された瞳は少々お疲れのよう。
「よく頑張ったね、瞳ちゃん!」
琴美先生は驚きながら言っている。
「ありがとうございました…。」
瞳も弱々しく笑っている。
「昨日1日、安静にしてたのかな?肺の音も昨日の朝より断然良くなってるよ。多少ぶり返すことはあるかもしれないけどこのまま頑張ろう。」
「はい。」
「よし、じゃあ私は晴ちゃんのこと見てくるよ。」
「分かりました、ありがとうございました。」
「ご飯、食べちゃいなねー。」
「はーい。」
というわけで、再び私の元に戻ってきた琴美先生。
私はというと。
ちゃんとご飯食べてましたよ。瞳たちの様子を実況しながら。
「あれ、思ったより減ってないね?」
とか言われたけど。
「気のせいじゃない?ちゃんと食べてるよ。」
「まだ食べられる?」
「うん。それは大丈夫。」
「じゃあ診察終わったらこのまま食べるんだよ。」
「うん…。」
食べられるけど、あんまりお腹は空いていない。だけど気持ち悪いとかもない。まあ食べて早く治るならそれでいいとしましょう…。
「君は聴診だけ残ってるんだよね、晴ちゃん。準備はいい?」
「はーい…。」
はぁ…。
「ため息つかないのー。」
「ついてないもん。」
「いやいや、がっつりついてたからね?」
「先生の気のせいだもん。」
「もー。晴ちゃんはどうしちゃったのかなー?」
「どうもしてないもん。」
琴美先生は少し困ったように笑っている。
仕方ない、だってちょっと甘えたくなっちゃったんだもん。
「さーて、晴ちゃん。もしもししましょうね〜。」
私の幼児退行に合わせて口調まで変えてくる琴美先生。
「うん…。」
そして長ーい長ーい琴美先生の診察が終わる頃には日も暮れて…なんてことはなく。
「はい、おつかれー。晴ちゃんもよくなってるね!昨日やっぱり大変だったみたいだから心配してたけど大丈夫そうだね。」
「うん。元気だよ。」
「うん、熱あるし、まだ元気じゃないからね?」
「そんなことないもん。」
「わかったわかった。じゃあ、ご飯食べちゃいな。沢山食べて欲しいけど無理はしなくていいから。」
「うん、わかった。」
「それと、今日お話する?午後からなら時間取れるよ。」
「うん、先生がいいなら。」
「じゃあお昼食べ終わる頃にまた来るね。」
「はーい。」
瞳は成長し、私は幼児退行して今日の朝の回診は幕を閉じた。