Hey girls!調子はいかが?

「晴ちゃん、結論から言うとちょびっと喘鳴酷くなってる。」

「はぁ…。」

「でも、今自分でわかる?」

「うーん、あんまり?」

「だから、夜ネブライザーして様子見よう。」

「わかった…。」

「さて、お待ちかね。はい。」


そう言って渡されたのはさっきまで琴美先生が使っていた聴診器。


「ほら、耳につけて。」

「つけた。」

「そしたら、当ててごらん。」


当ててみる。なんか変な感じ。こんなに心臓の拍動が大きく聞こえるだなんて。


「どんな感じ?」

「…なんか、色々な音が大きい。」

「あはは、そりゃそうだよー!」


琴美先生に笑われた。


「でもゼエゼエは聞こえない。」

「ん?ちょっと貸してごらん。ここに当てると聞こえると思うよ。」


じっくり聴いてみる。だけど私にはあんまりわからない。


「わかる?」

「んー、わかんない。」

「だよねぇ…。あ、じゃあね、これならどう?」


何かを思いついたらしい琴美先生。


「ちょっと持ってて。」


そう言って聴診器のステート部分を私に渡した。そのまま琴美先生は白衣のボタンを外し、来ていた服の胸元のボタンも外して服を乱し始めた。


「ちょっと、先生なにしてるの?!」


さすがに驚いて大きな声を出してしまった。


「ん?いやー、晴ちゃんの音と私の音、比べたらわかるんじゃない?って思って。」

「ああ、っていやいやいや!!」

「当てるよ、よく聞いてみて」


ええええ…。
納得しかけたけど…。

まあいいや、この際だからしっかり聞かせてもらおう。


「この辺ね。当てて呼吸するから聞いててね。」


私は頷いた。

つかの間の沈黙が訪れる。
だけど私は琴美先生が静かに息をする音を必死に聞いていた。

なるほど、そう言われると琴美先生の方がクリアな呼吸音な気がする。


「どんな感じ?」


聴診器を身体から離して聞いてくる琴美先生。


「何となくわかる気がします。」

「よかった!」


そう言って琴美先生は服を整えた。


「先生、もう1回自分の音を聞いてみたい。」

「ん、いいよ。ここにあてな。」


ガイドしてくれる。
さっきの琴美先生の音と比べるとゼーゼーと変な音が混ざっているのがわかる。
なるほど、これが喘鳴かー。


「わかった?」

「うん。」

「だけどね、これを少しずらすだけで…。」


そう言って琴美先生は聴診器をずらした。


「あ、聞こえなくなった…。」

「でしょ?だからどこでどんな音が聴こえるのか、しっかり知っておかなくちゃいけないんだよ。」

「なるほど〜。」


結構驚きだった。
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