Hey girls!調子はいかが?
そして処置室に到着。嫌だという意思とは反対に機械の前に座っている。
「よし、始めるよー。」
琴美先生の言葉で機械のスイッチが押された。ゴーっといって機械が動き出すと同時に薬がもくもくと出てくる。これが苦しい。
スー、スー、ゴホッ…スー…。
だけど田川先生たちに病院に連れてこられた日と比べたら、ネブライザーでせき込む回数はだいぶ減ってきたと思う。いつになく早いペースで回復している気がしなくもない。隣を見ると瞳も咳をして顔を若干ゆがめているとはいえ、良くなっている気もする。もしやこれは幼馴染効果か?なんて思ってしまう。そんなこと本当にあるかどうかわからないけどねー。メンタル的な面ではいつもより安定しているのかもしれない。それは否めないと思う。
ピー。
「はい、お疲れ様―。」
機械が止まって、琴美先生が終了の合図を出した。
「二人ともよくなってきたんじゃない?」
当たり前だけど主治医である琴美先生には私たちの変化なんてお見通し、むしろ私たちのことは先生の方が詳しいんじゃないかなって思う。
「これはちょっと楽になった。」
瞳もうんうんとうなずいている。
「この調子で予定通り退院できるようにがんばろうね。このままだと退院させてあげられないけどこの調子でよくなっていったらきちんと予定通り退院できるから。」
「はい。」
「うん。」
「よし、部屋に戻ろか。早めにネブライザー終わらせたから、今日はあと夕方の回診だけだからね。」
「それは喜べない。」
「えー、そんなこと言わないでよ。」
琴美先生は笑ってる。まあ、必要なことだっていうのはわかってるけどね?でも嫌なものは嫌でしょ?
「瞳だって嫌でしょ?」
「いや、そこで私に話振らないでよ…。まあ嫌だけどね?」
そう言って瞳はちらっと私や琴美先生を見る。
「はいはい、君たちが診察嫌いなのはわかったよー。晴ちゃんは瞳ちゃんを巻き込まないのー。瞳ちゃんも乗らないでよ、私が悲しくなっちゃう!」
琴美先生は実にわざとらしく悲壮感を漂わせた。私だけじゃなくて瞳まで笑っている。
「はい、お疲れ様。しっかり寝てしっかり治しましょう。また回診の時間になったら来るね。って言ってももうすぐだけど。」
部屋に到着し、悲壮感を突然消滅させた琴美先生。その変化に驚きつつ、私も瞳もベッドに入る。
「じゃあ、またあとでね。」