【続】0.0000034%の奇跡
【もうひとつのきせき……】
本業である歯科医師の仕事も大好きな私はスクラブに袖を通した瞬間、顔つきが変わる。
カナちゃんいわく「いい意味でエロい」らしい。
そもそもエロい時点でアウトでしょ。
「施術が始まる前のマスクを付ける時がたまらない」って歯科助手もどこ見てんのよ。
同性からの視線の方がバシバシ厳しく感じている今日この頃。
診察時間も終わり息づく間もなくテレビ関係者からアポの連絡があった。
タレントでもない私にマネージャーさんなど居るはずもなく、直接こうしてテレビ出演や雑誌取材などの交渉がくる。
歯科医に無関係な内容なら全てお断りしている状況で、結構お断りしていたら無理やり女医枠やら歯科医療やらくっつけてきてくる出演依頼も最近増えてきている。
あまりにも多くて正直、断る文句を考えていたほど。
電話ではなく直接会って交渉させてほしいと申し出たのは、初めて会うテレビ関係者の方だった。
面と向かって言われるのは苦手で断りにくいから出来れば電話でと伝えたら「ある女子高生の願いを叶えてほしい」との言葉に動きが止まった。
え、なにその依頼………
初めてだ………
改めてお会いしたいとの申し出に自然と了承していた。
なんだろう………
胸がチクッとして、直感的にやらなきゃって思った………
例えそれが歯科医師である私としてじゃなくても。