【続】0.0000034%の奇跡



しかし、帰ってからも智くんの眼差しは冷めないままで……所構わず襲われそうになるのを逃げ回る始末。
完全に盛りのついたオス犬だ。



「今日だけは許して」と後ろからハグされる。
撮影の日はいつもこう。
その日までに幾通りものスタイリングを考案し、一生懸命準備してくれている姿を見ているだけに拒否は出来ず。



智くん曰く、ヘアメイクして撮影するたびにそれ以上の表情で返してくるから闘志が湧くんだって。
私は未だにカメラを智くんだと思って自ら暗示をかけてやってるっていうのに。



「またラブラブしてる〜!」って瑚子にも見つかる。
ほら言わんこっちゃない。



「瑚子もママとラブラブする〜」



「えっ!パパとじゃないの?」



「パパはダメ〜」



オス犬、撃沈。
本気でヘコんでるからウケる。
そう思えば平気で瑚子の前で私の頬にキスしては「パパのママだぞ」とか言ってるし。



「じゃあもうパパとはお風呂入らないもーん」と瑚子も参戦。
これはさすがにノックアウト。
「ごめんなさい」してる。
本当呆れる……アホくさ。


今夜は早く寝たいけど………



そういう訳にはいかないだろうな………






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