【続】0.0000034%の奇跡



「ちょっと槙田先生!コレどういうことですかっ!?」



出勤するやいなやクリニックのスタッフに捲し立てられる。
何がですか?と言いたいところだけど皆が手に持ってる雑誌が嫌でも目に入ったから何も言えない。



「う……ん、どういうことなんだろうね?」



誤魔化しようがないから困る。
何でここに持って来るかなぁ。
今日発売の雑誌。
いち歯科医師たる者がデカデカと表紙飾ってます。
しかもモデル風に。



無造作にデジタルパーマ、アイライン太めのバッチリメイク、裾の長さがアンバランスなピンクゴールドのドレスワンピースを身に纏い、横向きにしゃがんでカメラ目線で決めている。
勿論、こんな表情…職場で見せたことなどない。



「めっちゃカッコ良すぎです!」



「膝見えちゃってるじゃないですか!セクシー!」



「才色兼備って書いてる!本当、天はニ物を与えたよね〜」



何とでも言ってください………
穴があれば入りたい………
早くその雑誌しまって………
私の前で出さないで………


中までパラパラめくってキャーキャー喚いているので、早足でロッカールームに行き着替えを済ます。






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