【続】0.0000034%の奇跡



「私そんな憧れてもらえるような人間じゃないですけど…嬉しいです、ありがとうございます」



“槙田先生の笑顔なら皆イチコロだから大丈夫”ってカナちゃん言ってたけど本当なのかな…?
まだ何か言いたげにしている患者さんに手を振り「また2週間後」とお見送りする。



「断り方もプロ並みですね」と歯科助手。
「嫌味のない笑顔素晴らしい」と歯科衛生士。



「ん?もしかしてディスってる?」



2人の慌てて言う「とんでもない!」の声がかぶってる。
慣れたくはないんだけどさ。
慣れて……しまったようだ。




「あたし、コレ一番好きかも」とベテラン歯科医師の声が聞こえたかと思えば飲んでいたストレートティーを危うく吹き出しそうになった。
休憩時間、まだ雑誌の話題で持ちきりなクリニック。



広げていたのはギターと一緒に撮ったページ。
担当者のユイちゃんの一言で追加撮影したショット。
勿論、私物のギターです。



ソファーで横向きに座りギターを抱えて、コードに頬寄せカメラ目線の私。
なるべくなら知ってる人には見られたくないショットだ……
撮ってる最中は気持ちが高ぶって且つ大胆になっちゃってるから仕方ないんだけども。






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