【続】0.0000034%の奇跡



明日は休みで瑚子も母が面倒をみてくれている。
有難い話で、結婚記念日はなるべく夫婦で過ごすものよと言われた。



急いで仕事を終わらせ、急患が出ないことを祈りながらクリニックを後にする。
外に出たらすぐ前に停まっている車。
人影が見えて笑顔がこぼれる。
降りて待っててくれる優しいところが今も好き。



「お疲れさま」ってニッコリ笑顔。
改めて智くんが好きなんだと実感する瞬間。



「寒かったでしょ?中で待っててよかったのに」



「平気だよ、待ってたかっただけ」



そう言いながら助手席のドアを開けてくれる。
何気にいつもサラッとレディーファーストしてくる智くんに今でもキュンときちゃうのは事実。



今夜は夫婦水入らずの6年目の記念日。
ホテルの最上階でディナー。
個室で夜景を見ながらグラスを交わす。
久しぶりの外食と慣れない空間に照れ笑いする2人。



「結婚してくれてありがとう」



毎年この日を迎えるたびに智くんは言ってくれる。
ちゃんと言葉にして伝えてくれるのは夫としてポイント高し。
恥ずかしそうに言う、まだ慣れていない様子はいつ見ても微笑ましい。


「私こそ、ありがとう」



たくさん感謝してる。
本当なくてはならない存在だよ。
智くんのおかげで私の人生は明るく輝いた。
どちらからともなく「これからもよろしく」ってこの先も言える仲で居ようね。






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