【続】0.0000034%の奇跡
目の前に置かれた私の好きな某ブランドのネックレスとブレスレットが。
びっくりして智くんを見ると真っすぐ私を見つめてる。
優しく微笑んで2つともつけてくれた。
「え〜!?」と驚いているのもつかの間。
もうすでに購入済みだったそうで店員さんにお礼を言って再び外へ出る。
まだたくさん人だかりが出来ていたけどしっかり手を繋いで走り去る。
「アハハハ…!」
追いかけてくる人たちを撒いた瞬間、息を切らしながらも笑いが止まらなかった。
誰も居ない公園のベンチ。
そっと肩に頭を預ける。
「ありがとうね」とブレスレットを見ながら言ったら頬にキスされた。
ギュッと抱き寄せられて「芹の笑った顔が好きなんだ」だって。
こういうの弱いんだよなぁ。
ベタだけど智くんなら何されたってキュンときちゃう。
コートの前立て部分をつまむ。
それに気付いた智くんと目が合った。
オレンジ色の街灯が灯るベンチ。
静かな寒さが2人の間をすり抜ける。
「キスする場所…違わない?」
大好きなその顔を見つめながらつまんだコートを自分の方へ引っ張った。
肩に回った手は優しく私を包み込む。
「芹、それ付き合いたての頃にも言ったよね?」
「ん…?そうだった?」
「あ、でも言い方違ったな……確か、キスする場所ちがーう!って怒られたんだっけ…」