【続】0.0000034%の奇跡



「え?何が?」



「今、口ずさんでた曲」



智くんの言ってることの意味がすぐには理解出来なくてキョトンとしていたら。



「よくハミングしてるよね?前から気になってたんだけど誰の歌かな〜?って思って…最新曲?」



あまりにも無意識過ぎて、今まで自分が何をハミングしていたのかすぐ思い出せない。
でもハミングしていたのは確か。



あっ…!まさか、コレ……!?



脳をフル回転させて頭の中にリピートしている音楽をもう一度ハミングしてみる。



「そう、それ!」



オーブンレンジにアップルパイをセットする。
隣にはボタンを押してご機嫌な瑚子と、ビンゴ!ってな顔の智くん。
ゆっくり振り向いて目を合わせるけど…ちょっと気まずい。



だってそれ………



「実は……オリジナルだったりして?」



笑って誤魔化そうとしてもそうならないことは知ってる。
びっくりして固まってたけど凄く褒められた。
バラード調のスローテンポなハミング。



挙げ句の果には「思いきって歌詞つけてみたら?」とまで。
無理だよ〜ド素人だもん。
たまたま気分が良くてハミングしたメロディーだよ?
無意識に、しかもデタラメに。






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