【続】0.0000034%の奇跡
後日作成された事務所の契約書にサインをして、超極秘プロジェクトと題し私のプロデュースはスタートを切った。
歌手デビューなんて大それたことではなく、あくまで雑誌とコラボという形でプロの方々にお願いして映像を撮る流れです。
いつもと違うことと言えば家での撮影ではないという点。
小心者の私がかなりの人前で歌うという点。
プロデューサーが映像と音楽で2人居て、少し前まで楽に考えていた自分を殴りたい気分。
本格的過ぎて、これは1つの作品にかける大人たちの想いが熱すぎる。
その中心に自分が居るだなんて、もう他人事では済まされない事態だ。
日を追うごとに密な打ち合わせを繰り返し、紹介された日浦タケル氏。
編曲を担当していただく大事な方だ。
数々の有名アーティストを手掛けていて忙しいはずなのに今回のオファーを快諾していただいたとか。
40代の大ベテランの日浦さんは早速試し弾きした私に対して、すぐその場でアレンジしてきて痺れるほどカッコ良かった。
また違った刺激が私を奮い立たす。
始めの緊張感なんてどこかに吹き飛んで時間を忘れるくらい弾いては意見を言い合う。
初対面でここまで本音をぶつけれた人は初めてだ。
やっぱり音楽って凄い。
世代関係なくストレートに伝わる。
互いに熱くなって刺激だらけの時間だった。
後にこの人のおかげで私の拙い曲が素晴らしい曲に生まれ変わるわけであります。