【続】0.0000034%の奇跡
知らないうちに360度撮影されていて歌いながら涙ぐむところもバッチリ撮られていた。
いつの間にか日も落ちてすっかり夜になっていたね。
緊張でしかなかったけど割と気持ち良く歌えた気がする。
初めてちゃんと弾き語りしてみて、聴いてくれる人の反応を肌で感じるってのはなかなかない経験だ。
音楽に対しての意識が良い意味で覆された瞬間だったかも知れない。
出来上がったMVを皆で見る。
と言っても私は直視出来ませんが。
細部までカメラが止まるたびに髪に動きを付けてくれた智くんは隣でマジマジと見ていて余計恥ずかしい。
もう、お家で見てよ。
私の居ない時に。
うわ〜本当に出来上がっちゃってる。
カット割りやCGもプロの手により華やかな仕上がりになり、モニターに映る自分がまるで別人のような気がした。
スタジオ撮りとは対照的に弾き語りのMVは、周りのノイズは遮られていて古い映画を見ているようなカット割り。
時々カラー、時々モノトーンな映像で私の歌声だけが流れている。
違ったバージョンもいくつか見せてもらったけど、最初に見せてもらったモノトーンが一番良いと智くんも同じ意見だった。
告知までの流れや特集記事の最終打ち合わせ、撮影と目まぐるしい日々を駆け抜け、たくさんの人たちの手が加わりコラボした雑誌は発売前から多くの反響を受けとうとう世に出された。