【続】0.0000034%の奇跡
その脚本を前にユイちゃんに頭を下げられる。
「2週間だけ期間を設けています、読むだけ読んで引き受けないならそれでも結構なんでまずは目を通して頂けないでしょうか?」
何をそこまで彼女を突き動かすものがあるのか。
「で、そのオファーの内容は?」
脚本を見て決めるとか薄々勘付いてはいるけど100%応えれる自信はない。
どんな内容であれ私の度量の狭さにがっかりさせちゃうんだろう。
しかし、ユイちゃんの真剣さに7割方負けてしまっている私はその脚本を手に取ってしまう。
受け取った事にホッとしたのかやっぱり信じ難いオファー内容を聞かされるハメに。
「このドラマの主題歌を担当して頂きたいとのことです」
これ以上ないくらい満面の笑みを見せられて直立不動の私。
「はっ!?」って素っ頓狂な声がクリニックに響き渡る。
「むりむりむりむりっ…!!」
「いや、今受け取りましたよね?まずは読みましょう!10日後にまた連絡しますのでその時にお返事聞かせてくださいっ」
こんな時の逃げ足は異常に早いユイちゃんを何度も見てきた。
しばし見つめる脚本。
10日間で読み終われってか。
「見たまま感じたままメロディーが浮かぶよう祈ってます」って付箋メッセージまで。
「ドラマの主題歌っ!?」
やっぱり智くんもびっくりしてる。
「読んだの?」ってまだ脚本は目を通してない。
ていうか読むのが怖い。