【続】0.0000034%の奇跡
【まばたきのあいまに……】
通常通りの診療時間。
「槙田先生っ!大変ですっ!」
案内係の歯科助手の子が血相変えてやって来た。
周りを気にしながら抑えてる声でも興奮度が覗える。
「どうしたの?」
何やら頬を赤らめて私の耳元で
「次の患者さん、あの黒川春樹なんですよ」と言う。
はて……???
黒川…春樹……!?
ピンとこない私に耐えかねて
「若手の実力派俳優ですよ、大人気の」と言われましても……本当にわからない。
他のスタッフは皆、彼のファンみたいだけど……
へぇ〜本名は黒川暖(ダン)っていうんだ。
本名の方が格好良いじゃん。
そう思っていたら早速現れた彼。
カルテから彼に視線を向けると、無造作パーマにくっきり二重瞼。
鼻も高く整った顔でビックリした。
「先生ヨロシク」っていきなりタメ口な所は若さを感じる。
実力派人気俳優ねぇ……まぁモテる顔だろうね。
最初に撮ったレントゲンを見ながら説明に入ろうとした途端、急に顔を近付けてきたからとっさに仰け反った。