【続】0.0000034%の奇跡
母校でお世話になっていた恩師がとある田舎に赴任が決まり、しばらく会えないでいたら案の定電話がかかってきた。
休みを取って会いに行く。
いや、半強制的?に打ち合わせという名のセミナーとでも言うべきか。
何処へ行っても自分の教え子だって自慢したいらしく私を呼び寄せる。
またかと思うけど、尊敬してる先生なので何も言えず。
ブツブツ言いながらも会いに行ってしまう私。
いくつか列車を乗り継いで降りた駅には潮の香りが漂っている。
都会では見慣れない船やかもめの鳴き声。
人が少な過ぎて息苦しさを感じない。
そびえ立つビルもなく高台に登れば街全体が見渡せられる。
時間に追われる忙しい日々など程遠いのどかな街並み。
駅から大学までは道も遠いから先生が迎えに来てくれる事になっている。
大きめの帽子に白シャツ、青い花柄スカートに身を包み指定された場所で待っているとチラホラ視線を感じる。
「え〜まさか、こんなド田舎に居るわけないじゃん」と学生らしき声が。
時計を見るフリをして下を向いた。
「めっちゃ美人〜東京の人かな?」
「絶対に槙田芹意識してるよ」
はて………?私の事言ってる!?
その私が、槙田芹なんだけどな。
とりあえず気付かれないように顔を背けた。