【続】0.0000034%の奇跡
道路を挟んで真向かいのバス停が目に入る。
掲示板に貼られているポスター。
先生が赴任した先の大学名が見えたので、迎えがまだ来ないから渡って見る事にした。
ゆっくり近付いていくとぼんやり見えていたポスターに足が止まる。
「はぁっ!?」
思わず声を出してしまい慌てて周りを確認。
まさかの光景に目を疑う。
嘘でしょ………めっちゃ前の私……?
ポスターにはしっかりと歯科医になろう!との文字と歯科医師なりたての若かりし頃の私の写真が。
無断で使われてる…!マジか…!
白衣着て微笑んでるし。
クリニックのホームページ用に撮った写真じゃん。
すると背後から車のクラクションが2回鳴って先生が迎えに来てくれた。
「お前を見て本気で歯科医師を目指す学生が現実に居るんだよ、写真を悪用してる訳じゃないんだからいいだろ?な?」
「はぁ……、にしても写真古過ぎですよ」
「新しい写真に変えるか」
「そういう意味じゃなくて……ていうか私また先生の代打でセミナーですか?そうそう何度も来れないですよ?」
「すまんなぁ、皆お前に憧れとるから会わしてやりたいんよ」
そう言われると何も言えない事知ってて言うんだから。
大体話盛りすぎでしょ。
休みを取らされてコレだもんなぁ。
まぁ、それ以上にめちゃくちゃお世話になってるから文句は言えないんだよね。