Sweet break Ⅲ

『変わったと言えば変わったし…変わってないと言えば変わってないかなぁ…』
『何よソレ、どっちなの？』
『ま、要するに、他人からみたら変わってないように見えても、もっと深いところがいろいろ変わってたりするのよ』
『ますますわかんないし』
『ハイ！私の話は、これでおしまい』
『えぇ～』

何となく消化不良のまま、勝手に話を打ち切られてしまった。

結局のところ、その二人にしかわからない変化がある、ということだろうか…？

『どっちにしても、構えることないよ、いつもの朱音のままでいいんじゃない？関君だってそういう朱音を好きになってくれたんでしょう？』
『そう…なのかな？』
『自然体が一番。会うたびに身構えてたら、せっかくのデートも楽しめないよ』
『…それはそうだけど』

そもそも私のどこが好きなのかなんてわからないから、答えようがないけれど、いくら取り繕ったところで、紗季の言う通り、私は私にしかなれない。

それに、今度の休日デートは、お互いに完全なプライベートな時間だし、今までとは違う変化があるのかもしれない。

『紗季、ありがとう…なんか少し気が楽になったよ』
『そう？ならよかった』
『やっぱり、紗季に相談してよかった』

ホッとしたら、自分のグラスが空になっていることに気が付き、近くの店員を呼ぶと、ライムサワーを注文する。

『フフ…何か私も楽しみになってきたわ』

隣の紗季は、何やら嬉しそうににやつきながら、ポツリと独り言。

『ん？何が？』
『これから、あいつの手によって朱音がどんどん”女”になっていくのねぇ』
『なッ！』
『楽しみ～♪』
『もう！全言撤回よ！！』

面白がる紗季を横目に、真っ赤になりながら、運ばれてきたグラスを豪快に煽った。