Sweet break Ⅲ
”実家の犬が、何故か弟だけに懐かないことや、実はトマトが苦手だってこと、学生時代はずっとサッカー部で、今もたまに仲間と会ってやっていることや、一番好きな季節は夏の終わりから秋に移るころだということ…等々”
新たに知る関君に、ほんの少しの緊張と、弾み続ける胸の高鳴り。
見たことのない素顔を発見する度に、もっともっと惹かれてしまう。
『関君って、秘密主義な人かと思った…』
少し作りすぎたかな?と思ったお弁当を、結局一つも残さず食べてくれた関君は、これも食後に、と用意してきた自慢のフレーバーティを口にしながら、すぐ横の大木に寄りかかる。
『別に隠してるつもりはない…聞かれないから、言わないだけだ』
『聞いたら答えてくれるの?』
『質問の内容による』
『みんな関君のこと知りたいと思うけどな…』
”特に女性陣はね”…と心の中で、追加する。
『正直言えば、職場でプライベートなことを話すのはあまり好きじゃない』
『そう…なんだ?でも、今日みたいに話してくれたら、皆も嬉しいと思うよ?』
『いつも素でいるわけじゃない、自分の中で、仕事のオン・オフはハッキリつけたいからな』
言われてつい納得してしまう。
確かに、職場での関君は、仕事にストイックに取り組んでいて、近寄り難い雰囲気すらあるけれど、今日の関君にはそれがない。
それは自分で決めたルールのようなもので、だからこそあそこまで秀逸なのだろう。