Sweet break Ⅲ
何やってるんだろう、私…。
せっかく関君が、こんなにも素のままの自分を見せてくれているのに、たったあれだけのことに動揺してドギマギして、どうしたらいいのかわからなくなるなんて。
”いつもの朱音のままでいいんじゃない?”
紗季に言われた言葉を思い出すも、逆にいつもどう接していたのかどうかすら、わからなくなる。
恋人として、まだ手さえ繋いでいないのに、関君の口にする言葉の端々に、それを醸し出す空気が含まれていると感じるのは、私の気のせいだろうか?
それも、意図的に発しているような?…いやいや、そんな都合のいいような解釈はやめよう。
第一、”彼女”であるはずの自分がこんなに近くにいるのに、未だ手さえ触れてこないということは、関君にとって自分の存在は、まだ”友達以上恋人未満”なのかもしれない。
それでも…と、改めて今日の自分を振り返ってみる。
今のところ”手作りお弁当作戦(?)”は、成功しているようだし、心配していた会話だって普通に楽しいには違いないのだから、もっと自分に自信を持っても良い気もする。
『良し!ポジティブに考えよう!』
一旦、短い芝を踏む足を止めると、新緑の澄んだ空気を大きく吸い込み、高まった気持ちを鎮めるように、大きく深呼吸をしてみた。