Sweet break Ⅲ
この流れでは、次の質問も容易に想定できたけど、おそらく自分のキャパシティーを超えるであろうその応対は、このまま関君に委ねることにする。
『ふたりは、もうチューした?』
やっぱり…!咄嗟に関君の方を見やった。
『…してないな』
『え~どうして?』
『…なぜ、そんなこと聞く?』
案の定、出されたストレート過ぎる質問に、さすがの関君も辟易の様子。
無邪気にも、ななみちゃんは、続けて関君を追い立てる。
『だって”こいびと”は、すきどうしだから、チューするでしょう』
ドキリとした。
…出された質問の答えに、関君はどう答えるのだろう?
少なからず、当事者であるはずの私は、ドキドキしながら関君の答えを待つ。
『大人は、そんな簡単じゃない…相手の気持ちだってあるだろ』
『すきどうし、なのに?』
『そうだ』
『ななみは、すきな人とは、チューできるよ』
『そう単純だったら、いいだろうな』
『ふ~ん、じゃ、ふたりはずっとチューしないの?』
ななみちゃんの問いかけに、少し考えるように間を置き、不意にこちらに視線をよこした関君と、目が合ってしまう。
『…いや』
ドキッ
『そのうち…な』
意味深な笑みを返され、心臓はバクバクと音を立て、自分の頬がみるみる紅潮していくのがわかる。
『あ!ママ、パパ!!』
と突然、ななみちゃんが、繋いでいた手を放し、管理棟の入り口に向かって走り出した。