Sweet break Ⅲ

『はぁ…』

誰もいない給湯室で、大きく溜息を吐いた。

そもそも”付き合う”って…”恋人になる”って、どういうことなんだっけ?

”友達”と、何が違うんだっけ?

…今更ながらに、改めて考えてみる。

過去を振り返ってみても、なにせまともな恋愛経験など、中学の頃のものしかなく、今のそれとは違うということくらいは、さすがにわかっているつもりだった。

とはいえ、”恋人”という存在は、残念ながらその時の相手しかおらず、少なからずそういった存在だった彼を思い起こすしかない。

中学2年から約2年間交際していた、一つ上の拓海先輩。

同じバスケ部で、男子と合同で練習する時なんかに、優しく教えてくれて、中学1年の時から勝手に憧れてた。

あの頃は一つ上だってだけで、妙に大人に見えたっけ。

先輩が3年になってすぐの修学旅行で、個人的にお土産をもらった時に告白され、交際がスタート。憧れていた先輩からの予想外の告白に、当時かなり舞い上がったのを覚えてる。

交際…と言っても、そこはさすがに中学生。

せいぜい部活の帰りに一緒に帰ったり、お互いの誕生日にプレゼントし合ったりと、その程度のお付き合い。学年も違うし、部活も夏の大会を最後に、先輩は受験モードに突入してしまい、会う回数も自然と減っていった。
< 3 / 57 >

この作品をシェア

pagetop