Sweet break Ⅲ
確か、愛美さんは自分より一年早く入社していて、歳も一つしか違わないはずなのに、この違いは何なのだろう?…と、つい自分と比べてしまう。
『髪、伸ばそうかな…』
自分の、肩より少し短い髪は、何もしていないストレート。
今更、足りない身長を伸ばすことは無理だろうけど、髪だけでも伸ばせば、大人の魅力が増すかもしれない。
そんなことを考えていたら、運転席のドアが開き、関君が戻ってきた。
『…お前、何してんだ?』
助手席に身を沈め、シートに隠れるようにしている私を、訝し気に見る関君。
慌てて、通用口を除くと、そこに愛美さんの姿はもう無かった。
『えっと…愛美さんは?』
『城ケ崎なら、もう仕事に戻った…安心しろ、お前のことは言っていない』
『…そっか』
ホッとして姿勢をただし、真っすぐ正面を向いて座りなおす。
『そんなに知られるのが嫌なのかよ』
『…そういうわけじゃないけど…あっ、それより、愛美さん受付なのに日曜日に仕事って、何だろうね』
少し不機嫌になる関君に、慌てて強引に話題を変え、ついでに、二人が何を話していたのかも気になったので、さりげなく探りを入れてみる。
『倉沢…お前、まさか受付嬢が、毎日にこにこ笑っているだけが仕事だとか、思ってるわけじゃないよな?』
”あれ?違うの?”という顔で見たら、心底深い溜息をつかれた。