Sweet break Ⅲ

【朱音(あかね)】

たった今、紗季にも呼ばれたその名前は、両親や姉、友人達に、今まで何度も呼ばれたことのある自分の名前。


『朱音…』


昨日初めて、私の名を口にする、低く甘い関君の声が、今もまだ耳に残ってる。

たかが名前なのに、その響きの違いはいったい何なのだろう?

その声を思い出すだけで、キュッとなるこの胸の痛みは、何か病に侵されてしまったようだ。

たったこれだけの変化で、自分の中での関君の存在がまた大きくなっていく。


まだ始まったばかりの、私と関君の恋愛工程。

…次は、何が起こるのだろう?


不安と期待を胸に、先ずは次こそ、工程の初級レベルである、”手を繋ぐ”をクリアしなければ…!!

そう、固く心に決めることにした。



Fin

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