きみが青を手離すとき。
青い林檎



思春期。それはホルモンの分泌が急速に高まり、理由もなくモヤモヤしたり、苛立ったりすること。

つまり、科学的に立証されてるこの状態は普通のことで、べつに俺に限ってのことじゃないのに、何故かコイツは俺の感情を刺激することばかりを言う。


「またロッカー殴ったの広瀬でしょ?」

「あ?」

ギロリと睨んでも怯むことはない眼鏡の奥の目。

俺はコイツの見下すような目が嫌いだ。テストをやればいつも満点で、典型的な優等生タイプ。

眼鏡で、地味で、冴えなくて、勉強しかしてきてませんって顔。なのに、偉そうで物怖じしない態度が俺は気にくわない。


「学校のものを壊したら器物破損なんだからね」

「壊してねーよ。俺はちょっと小突いただけだ」

「とりあえず先生には私から報告しとくから」


……イラッ。

せっかく屋上で昼寝でもしようとしてたのに、気分は最悪だ。

つか、なんで俺が屋上にいるって知ってんの?

わざわざ追っかけてくるなよ、ガリ勉が。

< 1 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop