きみが青を手離すとき。
青い林檎
思春期。それはホルモンの分泌が急速に高まり、理由もなくモヤモヤしたり、苛立ったりすること。
つまり、科学的に立証されてるこの状態は普通のことで、べつに俺に限ってのことじゃないのに、何故かコイツは俺の感情を刺激することばかりを言う。
「またロッカー殴ったの広瀬でしょ?」
「あ?」
ギロリと睨んでも怯むことはない眼鏡の奥の目。
俺はコイツの見下すような目が嫌いだ。テストをやればいつも満点で、典型的な優等生タイプ。
眼鏡で、地味で、冴えなくて、勉強しかしてきてませんって顔。なのに、偉そうで物怖じしない態度が俺は気にくわない。
「学校のものを壊したら器物破損なんだからね」
「壊してねーよ。俺はちょっと小突いただけだ」
「とりあえず先生には私から報告しとくから」
……イラッ。
せっかく屋上で昼寝でもしようとしてたのに、気分は最悪だ。
つか、なんで俺が屋上にいるって知ってんの?
わざわざ追っかけてくるなよ、ガリ勉が。
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