彼女が死んだ物語
「あんた、大丈夫?」
頭上には、真っ赤な目をした母の顔があった。
気がつくと、そこはベッドの上だった。
いつのまにか、布団もかぶせてあり、母がやってくれたのだと
理解した。
「大丈夫って?」
記憶が途中で途切れてる、思い出せそうで思い出せない。
「頭の、ことよ」
何をこの人は真剣な顔をしているのか、私には理解できない。
「あんた、ずっと一人で話していたのよ」
私の手を力強く握る、母の指を見る。
何言っているの、この人。
要するに私が自演自作していたと?
ナミはいないと?
あの窓は……
目線を窓の方に映す。
窓は、窓なんかじゃなかった。
鏡……?