彼女が死んだ物語

「うそ」


ふるふると首を振る。



「うそじゃないわ」




母の指をつねる。

少し痛みを我慢するような顔をしている。



「うそだ!!」



逃げ出そうにも、母が腕を握ってくるので逃げられない。


いい時だけ、母親面しやがって。



「離して、離して!」



「現実を見なさい!!」




パン




私の頬をはじいたのは、母の手だった。


ひりひり痛みを感じる。



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