天罰
4
●先日の同窓会で私は久々に小林くんに会い、勢いで彼の弟の連絡先を聞いてしまった。だって本当はずっと忘れていなかった。あの日から私のときめきはずっと心にしまい込んで残っている。元気かな。背も高くなっているかな。格好良くなっているかな。ずっと思い描いていた彼の大人の姿を確かめたいという好奇心には勝てなかった。私は勇気を出して彼にメッセージを送った。「久しぶり。元気ですか?水城桃です。私を覚えてますか?連絡先は大介さんから聞きました」震える指で送信ボタンを押した。程なくして彼から返事が返って来たので心の準備がまだ出来てなかった。あぁ、どうしよう。拒絶されたらどうしよう。知らないって言われたらどうしよう。緊張と不安を押し殺しながら私は彼からのメッセージを開いた。「お久しぶりです。もちろん覚えてますよ!元気ですか?」彼からの無邪気な返信にまずホッとして心が軽くなった。そして私を覚えてくれてたこと嬉しく思った。「元気だよ。悟くんは今何してるの?学生?」すると返信が返って来た。「大学に通ってたんだけど中退しました。今は家でプログラミングを使ってゲーム開発をしています」大学中退というのに少し驚いたけどそれよりもプログラミングでゲーム開発なんてすごいし格好良いなぁと思った。頭良いんだな。するとまたメッセージが来た。「桃さんは?」桃さん・・・懐かしい呼び名に思わず胸がときめいた。「今年の3月まで事務で働いてたんだけど結婚を機に退職したの。今は専業主婦だよ」そう言うと「そうなんですね。結婚してるんですか?」「うん、今年の夏に」「そうなんですね!おめでとうございます!」祝いの言葉なのに悟くんに言われると悲しくなった。「悟くんは彼女いるの?」そう聞くと「まぁ、一応いますよ」と答えた。そりゃそうだよね。自分が既婚者なくせに彼に恋人がいることを知ってなぜかショックを受けた。「そっか、悟くんもモテるじゃん!!」そう言うと彼から「いやいや、オタクだからモテないですよ!」と返事が来た。オタクなんだ。確かにパソコンに詳しかったらそう思うのかな。でもそこも含めて私は次第にまた彼に興味を持ち始めていた。