天罰
「まだ14歳という若さなのに自殺を図ったらしい。
出血が多くて病院に搬送された時には手の施しようがなかった。」

「そうだったのね・・・・」

「たかが恋人に振られたくらいで自殺なんて。考えられないよ。
その先の人生だってまだまだ長いのに。最近の若い子は何を考えてるのか分からないな」
そう言うと彼は自分の悲しさを紛らわせるためか
自嘲気味な顔でワインを一口飲んだ。

「命を懸けるほど好きだったのかな・・・」
「え?」
「私もよく分からないけどきっと彼のことが全てだったんだよ」
「はっ、バカバカしい。恋は恋だろ?」

そう言うと辛気臭くなったこの場を払拭するため
彼は届いた料理に目が行くと「この肉うまそうだな~!」と
わざと明るい口調で話を切り替えた。

私も彼に同調するために「本当だ!しかもお洒落な備え付けね!」と答えた。



トイレに行ってる間に彼が会計を済まし、一緒にレストランを出ると
彼はエレベーターの前で私の耳元に囁いた。

「実はスイートを予約してある」

「え?」

びっくりして思わず彼の方を見上げた。

「久々にホテルに泊まるのも良いだろう。桃もここのホテルの部屋に興味があるようだったからさ」
「え、ええ。まぁ」

そう言うと私たちはエレベーターで上の階に上がり
スイートルームへと向かった。

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