天罰
「えー素敵です〜!どこでどうやってですか?」

「そんなのどうでもいいじゃん」
今度は場の空気を一変するような低いトーンで大野くんが言った。
「井沢さんは可愛いんだからすぐ良い人できるよ」
大野くんはそう付け加えると井沢さんは頬を赤らめ一瞬で彼女を黙らせた。

私はトイレで席を立つと携帯のメッセージを送った。

「ねぇ、お台場とかどうかな?実は行ったことなくて・・・」

すると悟くんから「良いですよ。行きましょう!」とすぐ返事が来て
「やった!」と思わず声を上げた。
トイレから出るとその前でタバコを吸ってる大野くんと鉢合わせになり
思わずびっくりして声を上げた。

「お疲れ様っす」
「わぁ、びっくりした!ここで何やってるの?」
彼はタバコの吸殻を落とし靴底で踏むと「水城さんを待ってたんです」と言った。

「え?私を?」
「二人で少し話がしたくて・・・」
「あ、そうなんだ・・・」
すると携帯を胸の前で握り締めてる私を見て
「何か良いことあったんですか?」と彼が聞いてきた。

「え?」
「さっきトイレからヤッターって聞こえたし。なんか顔が嬉しそうだし」
そう言うと大野くんは私に一歩近づいた。

私は彼から目をそらすと「そうかな?」と言って誤魔化した。


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