天罰
私は家に着くなり自分の部屋に入った。
私は扉を背凭れにした状態でそのまま座り込み、
携帯を取り出しそのまま無意識に悟くんに電話をしていた。

お願い出て。悟くん。
すると5コール目で彼の落ち着いた低い声が聞こえた。
「もしもし・・・」
「もしもし、悟くん?」
「え、桃さん、どうしたんですか?」
「急に悟くんの声が聞きたくて・・・・」
震える声に彼が気づいたのか
「もしかして桃さん泣いてます?」と聞いてきた。

「悟くんに会いたい・・・」
「え?」
「今すぐ会って私を慰めて欲しい・・・」
「桃さん・・・。とりあえず話聞きますよ。どうしました?
今日は前の会社の人達と飲みに行くって言ってませんでした?」

私は悟くんに事の顛末を話した。
「無理やりされたってことですか?ひどいですね・・・」
「怖かった・・・すごく。あんなことする人じゃなかったのに・・・」
「桃さん・・・・」
少し間が空くと今度は悟くんが思わぬ事を聞いてきた。
「もし俺が同じ事を桃さんにしたら嫌われますよね?」
「え?」
「もし俺が桃さんにキスをしたらきっと俺を嫌いになりますよね?」

彼がそんなことを言い出すなんて思ってなかったからびっくりして
なんて返答すればいいか分からなくて戸惑った。でも彼はそれを肯定と捉えたのか
「すいません、変なこと言って。あの気にしないでください」と
言った。
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