天罰
「ねぇ、今度家に行っていいかな?」「え!?」誘ってきたのは彼女の方からだった。「あ、いいよ!今度の土曜日とか?」「うん、それで!」そう言うと彼女はそそくさと行ってしまった。隣にいた俺の友達は「マジかよ。あの高嶺の花に気に入られたのか?」と揶揄してきたので咄嗟に「そんなことないだろ」と誤魔化したがまんざらでもなかった。どうせならアウトドアなデートがしたいと思ったけどここはとりあえず彼女の意向に従おうと思った。

土曜日当日、家に入るなり俺は彼女に「今俺たち以外誰もいないんだ」と言った。下心があると思われるのが嫌だったので結構勇気のいるセリフだったが彼女は気にすることなく「へぇ」と相槌を打った。けどすぐに俺の方を見上げると「え?弟さんは!?」と聞いてきた。「え?悟?あいつなら今友達ん家に行ってると思うけど・・・。あぁ、18時前には帰って来るよ」そう言うと彼女は「そっかぁ・・・」と言って少し落ち込んだような気がした。俺はそれを二人っきりになる時間が限られてることにショックを受けているのだと取り違えた。「まぁ、18時って言っても結構先だしさ!」「そうだよね・・・」彼女の気分は晴れずにいたが渋々と俺に付いてきた。
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