天罰

私は彼の顔を見上げた。

「桃さんですか?」

そう聞かれて一瞬声が出なかったけど
捻出すると「う、うん。そうだよ。悟くん?」と答えた。

「はい、俺です。桃さん会った時とあまり変わってないので
すぐ分かりました」と彼は笑顔で答えた。

逆に私にとっては彼の印象が大分変わったように思えて
一瞬誰だか判別がつかなかった。

昔のように無邪気な明るい少年ではなく
どこか内気で地味な中肉中背の青年に見えた。
少し無精髭も生え、ファッションもこだわりのなさが伝わるシンプルさで
正直少しマイナスに思えた。

「ここまで迷わずに来れた?」
彼に悟られまいと私は笑顔を作った。

「あ、多少迷いましたけど大丈夫です!」と言って
彼が笑顔になった時、あの頃の面影はまだあるなと思った。

「お腹すいたから先お昼にしようか」と言うと
私たちはジョイポリスの中にあるレストランへと向かった。
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