天罰
食事を終え、海岸沿いを散歩することにした。
すると突然、彼が

「手を繋いでも良いですか？」

と聞いてきた。


「え？」

悟くんにそう聞かれ私は思わず
「ごめん、恥ずかしいからそれはちょっと・・・」と言って断った。
そんなところを知り合いにでも見られたら・・・。

彼が「そうですか」と言って落ち込んだ姿を見た時、
私は少し後悔した。

すると彼が突然「昔は桃さんが手を繋ぎたがってたのに・・・」と呟いた。

「え？」

「人前だと変に思われるからって俺の部屋で手つないだの覚えてます？」と
聞いてきた。

私はあの時のことを思い出して一瞬で赤面した。

「あ・・・あれは・・・」

「もしかして今もですか？」

「え？」

「人前じゃなければ大丈夫ですか・・・？」

そう聞かれて私は否定することが出来なかった。
否定をしたら彼を全否定することになるから・・・
< 37 / 65 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop