天罰
「う、うん。そう、誰かに見られたら恥ずかしいから・・・」

彼は「そうですか」と言うとすんなりと諦めた。

私は「じゃ、歩こっか?」と言うと海岸沿いを歩き始めた。

家族連れ、カップル、女友達等々。
色んな人たちとすれ違い、皆がそれぞれお台場にいることを
楽しんでいるように感じた。

私も悟くんと一緒にいて色んな話が出来てすごく楽しかった。
だけど彼の近くにいるとこのまま引き返せなくなるとこまでいきそうで怖くて
不安と幸せの間で葛藤を繰り返していた。

私たちはゆりかもめに乗ってパレットタウンに向かうと
大観覧に乗った。

「わぁ、上から見るお台場はまた格段と違って見えてすごいねー」

そう言って私は窓の外の景色を見た。

すると悟くんは「ここからだと死角になるから周りからは
見えないですよ」と言ってきた。

私はどういうことか彼の意図が分からず「え?」と聞き返すと
目の前に座る悟くんは私の顔をじっと見つめ
「ここなら誰にも見られませんよ」と言ってきた。

私は上も下も見上げ隣同士観覧車に乗ってる人たちが
見えないのを確認すると「そうだね」と言ってまた窓の外に視線を移した。
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