天罰
一緒にいても彼女は静かだった。無表情でどこか冷めた感じが照れ隠しの裏返しなのだと俺は勘違いした。「あ、なんかお菓子とかいる?」と喜びそうなことを提案したのに「いらない」とひとこと彼女は素っ気なく答えた。仕方ないと思いながら俺はさり気なく彼女の隣に座った。俺の心臓は爆発しそうな程鼓動していて甘酸っぱい沈黙が更に俺を興奮させた。俺は勇気を振り絞ると、心ここにない冷めきった表情の彼女の方を見て「手を繋いでもいいかな?」と声をかけた。彼女は最初黙っていたが数秒後に「え?」と言ってこちらを向いた。彼女を初めて間近で見る瞬間だったが俺の予想とは打って変わって彼女は眉間にシワが寄り人を訝しがる表情をしていた。「どういうこと?」彼女の突き刺さるような疑問形に俺は戸惑いながら「えっと、あの、その・・・。いや、なんつーか、その・・・。まぁ、そういう雰囲気じゃん今」みたいに照れをごまかすように言うと「そういう雰囲気って?別に私達そういう関係じゃないじゃん」とバッサリ否定されてしまい俺の意外にも弱いハートに一気にグサッとナイフのように鋭い言葉が付き刺さった。「あ、ま、そうだけどさ。はは」と笑って誤魔化してはいたが心の中ではじゃぁなんで俺ん家来たんだよと口答えしていた。